(株)都築建築 代表の都築大輔です。
早いもので、2021年も1ヵ月を過ぎてしまいましたね。
今年も引き続き、僕の家づくりに対する想いや都築建築の工法などをブログで書いていこうと思います。
2021年 1回目はパッシブデザインについてお話ししたいと思います。
省エネ住宅とはエネルギーの消費の少ない家のことです。
つまり、生活する中で使用する電気・ガスの消費エネルギーを少なくすることです。
生活する中で冷暖房に使用するエネルギーは家庭で使用するエネルギーの3割を占めると言われています。
そのため、家の断熱性・気密性を上げ冷暖房の効率を高めたり、熱効率が高い給湯設備を使用して
消費エネルギーを少なくします。
あと、太陽光発電システムなどの「創エネ」といったエネルギーを作り出す住宅も含みます。
では、パッシブデザイン住宅とは。
パッシブデザインは、太陽や風の自然のエネルギーを上手に利用・調節して家の中を快適にする
建築設計の考え方と手法のことです。
とはいえ、パッシブデザイン住宅で真夏や真冬に冷暖房なしという訳にはいきませんが、
少ないエネルギー使用で省エネに繋げるのです。
では、パッシブデザインの自然のエネルギーを利用・調節するとは、具体的にどうすればいいのでしょうか。
1.日射の遮蔽と取得
室内の気温は、屋外の気温だけに影響されるわけではありません。
同じ室内でも太陽の光が当たるところと当たらないところでは、感じる温度に差があります。
パッシブデザインは、夏に高く、冬に低くなる太陽高度を利用して、日射の遮蔽と取得をします。
たとえば夏場、南に面した窓は深い軒や庇で暑い日差しを遮ります。
逆に、冬場は計算された軒の出ならば、日差しを室内に取り入れることができます。

でも、外観デザインを重視して庇をつけたくない場合もあります。
また、土地の形状や方角、周辺環境によっては庇をつけるだけでは足りないことがあります。
そういう場合には、周辺環境をしっかり読み解いて、窓の大きさや配置する場所の工夫、
外付けブラインドの取付、袖壁を付けるなど、いろいろな方法を考えます。
2.自然風の利用
初夏やまだ少し暑さの残る秋の初めのころは、窓を開けると自然の風が通り心地よく感じられ
とても快適ですよね。
でも、いくら大きな窓でも1つの部屋に1つしか窓がなければ風は循環しません。
室内の2つの面に窓があるのが理想的です。設計の時に、風が通る道を作っておくことが大切です。

3.昼光の利用
太陽の明るさを利用して、室内を明るく保てるように設計します。昼間の照明を使わずに過ごすことが
できるので省エネに繋がります。
北側の部屋は暗いという印象がありますが、周辺環境によって窓の高さを調節すれば
充分に明かりをとることができます。
4.断熱性
パッシブデザイン住宅・省エネ住宅で共通して重要視されているのは断熱性です。
冬は太陽の熱・暖房器具で温めた室内の空気を保温し、
夏はエアコン・日射の遮蔽で冷やした室内の空気を逃がさないために、断熱性が必要になります。
住宅の省エネ性能を示す値として、U値・Q値・C値があります。
U値・・・熱の逃げやすさを表していて、数値が低いほど断熱性が高いことになります。
Q値・・・U値とは逆に、熱の逃げにくさを表していて、数値が大きいほど断熱性が高くなります。
C値・・・家にどれだけの隙間があるのかを示す数値で、数値が低いほど家に隙間が少ないことになります。
断熱性を図るときは、これらの数値を比べてみてください。
5.日射熱の利用
冬場、太陽で温められた部屋はぽかぽかして心地よく快適に過ごせます。その、ぽかぽかした室内の空気を
断熱性能の高さによって夜まで持続させることで、暖房エネルギーの削減ができます。

パッシブデザイン設計を取り入れなくても、性能の高い冷暖房器や給湯設備を駆使して省エネに繋げることもできます。
機械の力で電気やガスの使用量を抑えれば、それも省エネ住宅です。でも、コストもかかるし機械なので
買い替えが必要になります。
しかし、パッシブデザイン設計は窓や屋根、間取りの工夫なので初期費用が大幅に上がることはありません。
僕が設計するときは、パッシブデザインを取り入れて、1年を通じて少ないエネルギーで自然と人が共生して
お互いが心地よく暮らせる住まいづくりをしたいです。
家計にやさしく・環境にやさしく・健康にやさしい、その家に住む人が快適に暮らせる家を建築設計したいと
強く思います。